予防歯科と一般歯科の違いは?
よくある質問
予防歯科と一般歯科の違いは、「予防」と「治療」という異なる目的にあります。一般歯科は、虫歯や歯周病などの治療を行うのに対し、予防歯科は、これらの疾患を未然に防ぐことを目的としています。
予防歯科と定期歯科検診の違いは、対象となる範囲にあります。定期歯科検診は、口腔内の状態を検査し、異常がないかをチェックするところまでです。予防歯科は、歯科検診に加えて、虫歯予防のためのクリーニングやフッ素塗布、歯磨き指導など、より包括的な予防処置を行います。
予防歯科とクリーニングの違いは、位置づけです。クリーニングは、予防歯科で行われる処置の1つという位置づけです。予防歯科は範囲が広く、クリーニング以外にも検診やフッ素塗布、ブラッシング指導なども含まれます。
プロケアとは、歯科医院で受けられる専門的な予防歯科処置のことです。自宅でのセルフケアでは行えない、歯科医師や歯科衛生士による専門的なクリーニングや歯石除去、フッ素塗布などがあります。
小児期の予防歯科は、乳歯の健康を保ち、永久歯の正しい生え方を促すために必要です。また、この時期に正しい歯磨き習慣を身につけることは、生涯の口腔衛生に役立ちます。
思春期・青年期の予防歯科は、ホルモンバランスの変化により歯肉炎のリスクを抑えるために必要です。部活動や受験勉強による生活リズムの乱れ、清涼飲料水の摂取増加なども重なり、口腔内の環境が悪化しやすくなります。予防歯科を受けることで、成人期以降の歯の健康を維持できます。
成人期の予防歯科は、仕事のストレスや生活習慣の乱れによる歯周病リスクを予防するために必要です。歯周病は糖尿病や心臓病などの全身疾患との関連も指摘されており、定期的なケアは歯周病を予防するだけでなく、全身の健康維持にも役立ちます。
高齢期の予防歯科は、年齢とともに唾液の分泌量が減少し口腔内が乾燥しやすくなることで起きる誤嚥性肺炎の予防のために必要です。また、定期的な予防歯科でのケアは、口腔内を清潔に保ち、誤嚥性肺炎のリスクを軽減するだけでなく、認知機能の維持やフレイル(加齢により心身が弱っていく状態)の予防にも効果があることが研究で明らかになっています。
出典:J-STAGE(「歯・口腔の健康づくりプラン」を支える科学的根拠)
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jniph/73/5/73_350/_article/-char/ja/)
予防歯科に通う頻度は、状態が芳しくない方は1カ月に1度、状態が安定している方は半年に1度等、患者様の口腔状況や歯周病の度合いによってより最適な間隔で定期的なメンテナンスプランを提案させております。成長期のお子さまや高齢者の方はさまざまな角度から検討して、より頻繁な受診が推奨される場合もありますので是非一度当院にて受診していただきメンテナンスプランを作成していきましょう。
予防歯科の基本的な歯科検診や歯石の除去(スケーリング)、PMTC(専門的機械的歯面清掃)、フッ素塗布などの予防処置は、放置すると歯や歯肉に悪影響をおよぼす可能性があると診断された場合に限り保険適用されます。一方、患者様任意のクリーニングや審美目的でのエアフロー、インプラントメンテナンスは保険適用外となり、自己負担となります。なお、歯科医院によって保険適用の範囲や料金体系が異なるため、初回受診時に詳しく確認してください。
予防歯科にかかる費用の目安は以下のとおりです。
処置 | 保険適応 | 費用 | 所要時間 |
歯科検診のみ | 〇 | 2,000~5,000円 | 15分~45分 |
検診+予防処置 | 〇 | 3,000~7,000円 | 30分~1時間 |
クリーニング、歯石除去 | × | 5000円+税 | 15分~30分 |
シーラント | 〇 ※1 | 1本あたり500~1,000円 | 10分~20分 |
PMTC | 〇 ※2 | 100円~300円 | |
フッ素塗布 | 〇 ※3 | 200円~600円 | 5分 |
※1 歯種によって保険適応外になることがあります。詳しくは担当医にご相談くださいませ。
※2 保険適応は簡易的なものになります。ステイン除去等はエアフローやクリーニングをご選択くださいませ
※3 保険診療はリスクの高い口腔内の場合にかぎります。患者様任意の塗布に関しては保険外となります。
歯の状態や必要に応じて処置を組み合わせるため、1回あたりの受診費用も変動します。定期的なメンテナンスとして継続的な受診が推奨されます。
予防歯科は、できるだけ早期からはじめることをおすすめします。乳歯が生えはじめる生後6か月頃から予防歯科をはじめることで、虫歯や歯周病のリスクを減らすことができます。
保護者の方も一緒に予防歯科をはじめることで、家族全体で口腔健康への意識を高めることが可能です。「予防」の観点から考えると、問題が発生してからでは遅く、健康な状態のうちからはじめることをおすすめします。
予防歯科をはじめるのに年齢制限はありません。赤ちゃんから高齢者まで、いつでも開始できます。年齢とともに増加する歯周病のリスクを考えると、できるだけ早くはじめることをおすすめします。
妊娠中でも予防歯科を受けることは可能です。むしろ、妊娠中はホルモンバランスの変化により歯周病になりやすく、つわりによる口腔ケアの困難さもあるため、専門的なケアが特に重要な時期といえます。
ただし、妊娠初期(15週まで)と後期(28週以降)は必要最小限にし、安全性の高い妊娠中期(16~27週)に、歯科検診や予防処置を受けることをおすすめします。
自分で実施できる予防歯科のためのセルフケアには、以下の項目があります。
- 適切な毎日の歯磨き
- デンタルフロス / 歯間ブラシの使用
- 洗口液の使用
- バランスの取れた食生活
歯科医師や歯科衛生士に相談しながら、自分に合った歯ブラシを選び、適切な使用方法を学ぶことをおすすめします。
普通の歯ブラシは、細かい部分まで自分でコントロールしながら磨くことができ、価格も手頃です。正しい磨き方を習得すれば、十分な歯垢除去効果が得られます。
一方、電動歯ブラシは、微細な振動や回転による優れた歯垢除去効果があり、手の力が弱い方や、細かい動作が苦手な方にも使いやすいです。ただし、価格が高めで、充電や電池交換が必要というデメリットもあります。
予防歯科では禁煙の強制はありませんが、喫煙が口腔内の健康におよぼす悪影響について説明があります。タバコに含まれるニコチンは歯肉の血行を悪くし、歯周病のリスクを高めます。
また、歯の着色や口臭の原因にもなり、口腔がんのリスクも増加させる要因です。予防歯科の効果を最大限に引き出すためにも、禁煙の検討をおすすめします。